「がっくん、がっくん!聞いて!!」

がっくんこと、向日 岳人は、私の幼馴染で大親友。きっと、男子・女子合わせても、1番仲が良いと思う。

「ん?どうした?」

俺のことを「がっくん」と呼ぶのは、ただ一人(陰で言われてたら知らねぇけど)。幼馴染で大親友の だけだ。男子を入れても1番仲が良いかもしれない。

「あのね、私も、氷帝を受けることになったの!」

「よかったじゃねぇか!」

「うん!」

私達の通っている学校は、氷帝学園と言って、幼稚舎から大学部まである、エスカレーター式の私立学校。だから、大抵の人はそのまま、上がる人が多い。と言っても、試験無しで上がれるわけではない。あまり、頭がいいとは言えない私達だけど、

俺には、テニスがあった。多少、試験の結果が悪くても、テニスの力で、合格する確立があった。だから、担任が、俺が氷帝を受験することに対して、無理だとか、やめておけとか、反対することは無かった。だけど・・・、

私には、がっくんと違って、人よりずば抜けてすごい、っていうもの、つまりは、特技が無かった。だから、担任の先生に無理だと言われた。だけど、私がどうしても行きたい、と言うと、今後のテストに結果によると言ってくれた。

だから、は、それから、とんでもなく頑張ったに違いない。そういえば、この前のテストで、学年の50位以内にの名前があった。・・・やっぱ、頑張ったんだな。それにしても・・・。

は、そこまでして、氷帝に行きたかったのか?」

「当たり前でしょ。だって、がっくんと同じ学校がいいもん。」

「そっか。」

俺達は、小さいときから、何でも一緒だった。学校のクラスとかは離れることがあっても、習い事とか、学校のクラブとか、選択授業とか。そういう、自分達で選べるものは、ほとんど一緒だった。

私がテニス部に入ったのも、そう。がっくんが「何に入る?」って聞いてきて、私も「がっくんは?」って聞いた。がっくんが「ここ、テニス部が強いらしいから、テニス部とか?」って言ったから、2人で男子テニス部と女子テニス部に、それぞれ入った。

「私達、ずっと一緒だったもんね。」

「どっちかが受験に落ちたら、別だけどな、ハハハ!」

「笑い事じゃないよ!」

このまま、ず〜っと、一緒だったらいいのに、と思っている。だけど、そうはいかなくて。同じ会社で働くわけじゃないし、働いたとしても、今のように、ずっと一緒にいることはできないだろうし。だから、せめて学生時代は共にいたい。

「でも、俺、落ちたらマジで凹むかも〜。」

「私もだよ。」

「だよな〜。・・・じゃあ、お互い、落ちねぇように頑張ろうぜ!」

「うん、頑張ろう!」

「頑張ろう」っていうのは、1人では使えない。誰かと一緒じゃないと使えない。・・・これからも、今まで一緒に頑張ってきた人と頑張っていきたい。いつまででも。これって、恋?だけど、それを伝えてしまうと、もう一緒に頑張っていけないかも知れない。

はバカだもんな!頑張らねぇと!」

「がっくんに言われたくないし〜!がっくん、この前の社会で40点だったって、知ってるもん。」

「何〜?!だって、この前の数学で38点だったじゃねぇか!」

「それは、昔の話でしょ?!」

好きだ、と言ってしまうと、こんな風に騒げなくなるかもしれない。お互いに意識してしまいそうだから。そんなのは嫌だ。それに、ふられて気まずくなる可能性もある。それは、もっと嫌だ。

「なぁ、。」
「ねぇ、がっくん。」

「・・・なんだよ。」
「・・・なに?」

「別に、何でも。」
「何にも。」

「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」

だけど、このまま友達以上の関係で我慢できるか・・・。いや、できない。たしかに、こうやって、騒いだり、喧嘩したり、一緒のものを選んだりするのは、楽しいし、伝えてしまって、意識したり、気まずくなったりするのは辛い。だけど、「好き」だという気持ちを隠していくのは、もっと辛い。

「あのさ、。」
「あの、がっくん。」

「・・・こういう時は。」

「ジャンケンで勝った方から言うこと。OK?」

「OK。んじゃ・・・、ジャンケン・・・ポン!!!!」

「・・・俺からか。・・・・・・あのさ。なんか、こういうの、やめねぇ?同じもの選んだり、騒いだり、って、そういうの。もう、俺達も高校生になるんだしさ。」

「・・・だね。」

「だから、いっそのこと・・・。・・・・・・付き合わねぇ?」

「好きでもないのに?」

「いや、俺は好きだ。」

「・・・・・・・・・私も。」

ついに言ってしまった。もう、後には戻れない。だけど、後悔はしていない。自分の気持ちに素直になって、相手に伝えることができたのだから。

「・・・・・・なんか、あんまり変わんねぇな。言ってしまえば、なんで、こんなことに躊躇してたんだろ、って思った。」

「私は、なんか今更だなー、って思った。ずっと、一緒にいたのにね。・・・と言うわけで、これからも、末永くよろしく。」

「お、おう。よろしく。」

「クッ。」
「プッ。」

「変なの!」
「おかしい・・・!」

こうして、私達は友達以上恋人未満の関係から、見事脱出し、恋人同士になれた。

たぶん、これからも俺達は変わらないだろうけど、恋人と呼べることが嬉しい。

これからも、一緒に頑張ろう。













 

う〜ん・・・。これは『男前がっくん』なのかと聞かれたら、微妙ですが・・・。馬鹿扱いもそんなにはしてないつもりです。
とりあえず、今回は仲良しな感じを出したかったので、自分的には満足してます(笑)。

それと、「一緒に頑張ろう」っていうセリフを使いたかったんです!
何事にも、1人で頑張るより、友達や家族など、仲間と一緒だと、もっと頑張れると思いますので。
・・・おぉ!久々に正論を述べた気がする・・・!(笑)